誰もが歳を重ね、いつか病気と向き合うときが来るかもしれません。自分や、大切な家族が「もう治す方法がない」と言われたら――そんなとき、希望をくれる新しい医療があったら、どんなに心強いでしょう。
いま、ある意外なものを使って、その希望を生み出そうとしている会社があります。使うのは、赤ちゃんとお母さんをつないでいた「へその緒」。出産のときに大部分が捨てられている、あのへその緒です。その挑戦を率いるのが、ヒューマンライフコード株式会社の代表取締役社長兼CEO、原田雅充(はらた まさみつ)さんです。一度は目にしたことがある「へその緒」。大切に桐の箱にしまっているご家庭も多いですよね。でも実は、出産のときに出るへその緒の大部分は「医療廃棄物」として捨てられているって、ご存じでしたか?
その「捨てられるはずのへその緒」を使って、これまで治せなかった病気に苦しむ人を救おうとしている会社があります。それがヒューマンライフコード株式会社。そして、その挑戦を率いるのが、代表取締役社長兼CEOの原田雅充(はらた まさみつ)さんです。
原田さんが、テレビ東京系の番組「アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~」に出演されます。今回は、番組をもっと楽しめるように、原田さんってどんな人なの?というところを、わかりやすくご紹介しますね。

えっ、へその緒ってお薬になるの!? 知らなかった…!
「アンパラレルド」にヒューマンライフコードが登場
「アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~」は、”比類なきもの”をテーマに、日本発の革新的な技術や挑戦者にスポットを当てる経済番組。MCはオードリーの若林正恭さんです。鋭くて、でもどこか優しい若林さんの語り口で、経営者の本音をぐいぐい引き出してくれる番組として人気です。
今回のテーマはなんと、「へその緒1本が1000人分の治療薬に? “誰も傷つけない”再生医療の可能性」。ゲストはヒューマンライフコードのCEO原田雅充さんと、COOの松下信利さんです。
ヒューマンライフコードってどんな会社?
ヒューマンライフコード株式会社は、2017年に創業した再生医療のスタートアップです。掲げているテーマは、ちょっと壮大で、でもワクワクする言葉――「へその緒で世界を変える」。
会社が取り組んでいるのは、出産のときに捨てられてしまうへその緒(臍帯)から特別な細胞を取り出して、これまで治す方法がなかった病気の「お薬(再生医療等製品)」を作ること。会社の理念は「つなぐ命のきずな つながる未来」。なんだか、名前からして優しさが伝わってきますよね。
小さなベンチャーなのに、ロート製薬・持田製薬など大企業が次々と味方に
「スタートアップ」と聞くと、少人数で手探り…というイメージがあるかもしれません。でもヒューマンライフコードがすごいのは、その挑戦に名だたる大企業や大学が次々と協力していることなんです。
たとえば、研究のパートナーは東京大学医科学研究所。お薬の製造には目薬でおなじみのロート製薬、運ぶ仕事はアルフレッサ、販売は持田製薬と、それぞれの分野のプロが手を組んでいます。へその緒を「集める・つくる・運ぶ・届ける」までを、まるでリレーのバトンのようにつないでいるんですね。会社ではこの仕組みを「細胞治療のエコシステム」と呼んでいます。

目薬のロート製薬さんも関わってるんですね!
国も認めた、その実力
ヒューマンライフコードの挑戦は、国からもしっかり評価されています。
内閣府の「日本オープンイノベーション大賞」では厚生労働大臣賞を受賞。経済産業省の有望スタートアップ支援制度「J-Startup」にも選ばれ、2024年には「勇気ある経営大賞」のスタートアップ部門大賞にも輝きました。さらに今では、アメリカ(ニューヨーク)や中東(UAE)とも提携が進み、日本発のこの仕組みを世界へ広げようとしています。
小さな一歩から始まった会社が、今や世界を見すえている――そんな成長ストーリーの真ん中にいるのが、これからご紹介する原田雅充CEOです。
代表取締役社長の原田雅充さんってどんな人?
原田さんは1972年生まれ、愛知県名古屋市のご出身。実はものすごい経歴の持ち主なんです。
大学院で遺伝子工学を学んで農学修士を取得したあと、日本化薬、アムジェン、セルジーンといった国内外の大手製薬会社でバリバリ働いてきたエリート。さらにニューヨークでMBA(経営学修士)まで取得しているという、研究も経営もできるスーパーマンのような方です。
ご趣味は水泳、硬式テニス、映画鑑賞、そして落語鑑賞。最先端医療に挑む方が落語好きというのは、なんだか親しみがわきますよね。きっとユーモアと人情を大切にする方なんだろうな、と想像してしまいます。
すべての始まりは、5歳の男の子との出会い
原田さんが「人生をかけよう」と決めたきっかけは、アメリカで出会ったたった一人の小さな患者さんでした。
製薬会社の統括部長としてアメリカと日本を行き来していたころ、原田さんは現地で、ある5歳の男の子に出会います。その子は生まれつきの病気で体力がとても弱く、唯一の治療法である骨髄移植にも耐えられない状態でした。
ところが、その子に胎盤由来の細胞を投与したところ、体力が回復。無事に骨髄移植を受けられて、病気は寛解(症状が治まること)したのです。そして――頭の病気で大好きな野球帽をかぶれなくなっていたその子が、また大好きな野球帽をかぶれるようになったのだそうです。
子どもを持つ親なら、この話、ぐっときませんか。「もう無理かもしれない」と言われていた我が子が、また元気に帽子をかぶって笑う。その光景が、原田さんの心に深く刻まれました。

自分の身近な人に置き換えたら…涙が出ちゃう。これは絶対に広めたい医療ですね!
安定を捨てて、住む場所も決めずにニューヨークへ
この体験に突き動かされた原田さんは、会社に「社内ベンチャーをやらせてほしい」と提案します。でも、統括部長という立場もあって、その提案は却下されてしまいました。
普通ならここで諦めるところ。でも原田さんは違いました。「だったら独立して、ビジネスにしよう」。そう決意すると、安定した地位をスパッと手放し、ニューヨークへ渡って1年間ビジネスを学んだのです。会社経営の経験はゼロ。それでも「足りないなら、補えばいい」という覚悟でした。

すごい決断ですよね。諦めないことが大事だね。
なぜ「へその緒」なの?──”誰も傷つけない医療”へのこだわり
細胞医療の材料には、これまで骨髄や脂肪が使われてきました。でもこれらは、提供する人(ドナー)に痛みや負担がかかります。
原田さんがこだわったのは、「誰かを救うために、誰かを傷つける医療では続かない」という考え方。その点、へその緒は出産のときに自然と切り離されるもので、お母さんにも赤ちゃんにも一切負担がありません。しかも”0歳の細胞”だから若くて元気で、品質も安定しているという、いいことづくめなんです。
「捨てるなんて、もったいない」。その一言に、原田さんの優しさと合理性が詰まっています。

赤ちゃんにとって”最初の社会貢献”になるって考えると、なんだか素敵
立ちはだかった「法律の壁」をどう乗り越えた?
実はへその緒、昔は東京都の「胞衣(えな)条例」というルールで、産業利用が禁止されていました。研究には使えても、医療ビジネスには使えなかったんです。
2017年の創業当時、ヒューマンライフコードの社員は原田さんたった一人。それでも東京大学医科学研究所と二人三脚で都に働きかけ続け、ロビー活動を繰り返した結果、2年半後の2019年9月、ついに条例の規制緩和を勝ち取りました。たった一人の信念が、行政のルールを動かしたんですね。

一人から始めて法律まで変えちゃうなんて…諦めない人ってかっこいい!
数字でわかる、確かな実力
原田さんの挑戦は、ちゃんと結果につながっているんです。
白血病の治療(骨髄移植)後に起こる、命にかかわる重い肺の合併症。発症後の生存率はわずか27.6%という厳しいデータもありました。それがヒューマンライフコードの細胞治療で大きく改善し、今は製品化に向けた最終段階の治験(フェーズ3)まで進んでいます。
しかも技術はどんどん進化し、今では1本のへその緒から1000回投与分のお薬が作れるようになりました。その功績が認められ、「第21回勇気ある経営大賞・スタートアップ部門大賞」も受賞しています。
ちなみに原田さん、東大医科研で研究員をしていたころ、難関で知られる米国血液学会の発表に採択されて「サラリーマン研究員が通っちゃったよ!」と笑ったのだとか。こういうお茶目な一面も、人柄が伝わってきますよね。

実績がすごいのに、語り口がユーモラス。応援したくなる方ですね。
世界へ広がる「ありがとうの循環」
原田さんが目指すのは、お薬を作って終わり、ではありません。
「へその緒を託すという赤ちゃんの最初の社会貢献が、誰かの命を救う。その収益の一部がへその緒バンクに還元され、また次の命につながる」――この“ありがとうの循環”こそが、原田さんの描く未来です。
今では東京・ニューヨーク・アブダビ(UAE)を拠点に、日本発のこの仕組みを世界へ広げようとしています。「日本で生まれたノウハウが世界標準になり、捨てられていたへその緒が世界中で役立つ。実現不可能ではありません」と原田さんは語ります。
まとめ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。最後に、この記事でいちばんお伝えしたかったことを。
私たちはつい、「医療の進歩」と聞くと、最新の機械や高価な新薬を思い浮かべてしまいます。でもヒューマンライフコードの原田雅充さんが教えてくれたのは、もっと根っこにある大切なことでした。それは、「誰かを傷つけて成り立つ医療ではなく、誰も傷つけずに、みんなで命をつないでいく医療があってもいい」という考え方です。
これまで捨てられていたへその緒が、誰かの命を救うお薬になる。その赤ちゃんの「最初の社会貢献」が、収益となってまた次の命につながっていく。原田さんが「ありがとうの循環」と呼ぶこの仕組みは、医療の話でありながら、私たちが毎日の暮らしの中で大切にしたい人を思いやる気持ちがあります。
そして忘れてはいけないのが、この大きな挑戦が、たった一人の「あの子を救いたい」という思いから始まったということ。5歳の男の子がまた野球帽をかぶって笑えた、その光景を胸に、原田さんは安定した道を捨ててここまで走ってきました。社員一人、銀行口座も作れない状態から、法律まで変えて。「足りないなら、補えばいい」――その言葉は、何かに挑戦したい私たちみんなの背中も、そっと押してくれるように思います。
番組「アンパラレルド~ニッポン発、世界へ~」では、ここでは書ききれなかった原田さんの素顔や、挑戦の舞台裏が、MC若林正恭さんとの対話でたっぷり語られます。
捨てられるはずだったへその緒が、世界中の命を救う日は来るのでしょうか。MC若林正恭さんとの対話、ぜひお見逃しなく!


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