摩訶不思議なトリックアート(立体錯視)で世界唯一の研究者 杉原厚吉教授(明治大学)をご存知ですか?
鎌倉不思議立体ミュージアムで、「どうなっているの?」と思う作品を直接見ることができます!
この思わず目を疑ってしまう不思議な錯視の世界にとりつかれた杉原教授が【グレイトジャー二ー】に出演されます。
杉原教授が繰り出すトリックアートは、見えているものが正しいとは限らない?丸いものが四角に見えるなど不思議すぎて脳がバグります!
杉原教授は計算錯覚学という新たな分野を生み出し、「毎日錯覚のことを考えている」というほどクレイジーな方なんです。
今回は、この立体錯視の魔術師杉原教授の深層に迫りたいと思います!
この記事でわかること👀
☝️常識が崩れる?不思議な立体錯視って何?
☝️杉原厚吉教授の何がすごいの?
☝️杉原厚吉教授が「立体錯視」にとりつかれたわけ
☝️杉原教授の作品はどこで見れるの?
常識が崩れる?不思議な立体錯視って何?
不思議な立体錯視の世界といういうけれども、そもそも錯視ってなんでしょう?
錯視とは?
目から入ってきた情報を脳が処理する際に、実際の物体の形や大きさ、色が違って見えてします現象です。つまり、「目の錯覚」のことです。
錯視が起こる仕組み
錯視が起こる仕組みは主に2つの理由があります
①脳による「推測」と「補完」
私たちの脳は、目から入ってくる情報が不完全であるため、過去の経験や知識にもとづいて「きっとこうだろう」と無意識に推測しています。
足りない情報を補って認識しようとするので、この「良かれと思って行った推測」が、現実と異なる場合に錯視となります。
代表的なものにポンゾ錯視があります。同じものでも大きさが違って見えてしまいます↓
②周囲との「対比」
物体は、単独で存在するのではなくて、常に周囲の背景や他の物体と比較して認識されます。
この対比効果によって、本来の色や大きさが違って見えてしまいます。
杉原教授の立体錯視は、この錯視を立体物の形状や配置、動きが、ありえないように見えたり、特定の視点でのみ錯覚が起きるのです。
杉原厚吉教授の何がすごいの?
立体錯視と平面錯視の違いは、「見る角度を変えると、ありえないことが起こる」という点です。
これは、平面錯視では再現できない、3次元ならではの現象です。
杉原教授が研究する立体錯視の主な特徴
・形状の「多義性」を悪用する
立体錯視は、一つの立体物が複数の異なる形状として解釈できる「多義性(たぎせい)」を持つ
ように、数理的に設計されています。
特定の角度から見ると、脳が最も単純な形状として認識しようとします。
しかし、少し角度を変えると、その単純な解釈が崩壊し、丸が四角に見えたり、ありえない方
向に傾いているように見えたりします。
これは、脳が三次元の世界を認識する際の「思い込み」を、立体物の実際の形状で逆手にとっ
ているためです。
・現実世界の「物理法則」を破る驚き
平面上のだまし絵は、「絵だから」と納得できますが、立体錯視は現実の物体が違った形状に見えるため、目の前の現実が理解できず、「だまされている!」と深い驚きを与えます。
杉原教授の研究実績
🏆世界錯覚コンテスト(Best Illusion of Year Contest)で、通算4回の優勝と、2回の準優勝に輝いています。
2010年 優勝(1位) | 「Impossible Motion:Magnet-Like Slopes」 ボールが坂を登っていくように見える「ありえない坂道」など。日本人初の優勝。 |
2013年 優勝(1位) | 「Rotation Generated by Translation」 物理的には並行移動しているだけなのに、回転しているように見える。 |
2015年 準優勝(2位) | 錯視作品 |
2016年 準優勝(2位) | 錯視作品 半身立体から生まれる回遊錯視など |
2018年 優勝(1位) | 「Triply Ambiguous Object」 3つの異なる解釈が生じる立体で、これまでの策士の常識を覆した点が評価されました。 |
2020年 優勝(1位) | 「立体版 シュレーダー階段図形」 平面の古典錯視を立体化し、上下を反転させても同じ階段に見える効果を3次元で証明。 |
「ベストイリュージョンコンテスト」は、アメリカのNeural Correlate Societyという団体が主催していて、科学的な研究を促進するための団体です。コンテストでは、世界中の錯覚作品から、映像を通して最も優れた錯覚作品を選出するために、2005年から毎年開催されています。
杉原教授の作品が国際的に高く評価される理由は、彼の研究スタイルである「数理工学」と「立体錯視」の融合にあります。
従来の錯視が、平面上の絵や模様が中心だったのに対し、杉原教授が数理的な解析を用いて、だまし絵(不可能図形)に描かれた矛盾した構造を、特定の条件(視点)でのみ成立する立体として現実世界に作り出しました。
🏆その他の主な受賞歴
杉原教授は、錯視の研究だけでなく、本来の専門である物理工学や情報科学の分野でも多くの賞を受賞しています。
・情報処理学会論文賞(複数回)
・電子情報通信学会 猪瀬賞
・日本応用数理学会 業績賞(錯視の数理モデリングとその応用に対して)
・芸術学会 Art and Scien Award (「芸術✖️数理工学」の分野への貢献に対して)
杉原厚吉教授が「立体錯視」にとりつかれたわけ
杉原教授はもともとコンピューターに手書きの図形を正確に理解させ、立体を認識させるための研究をしていました。
この研究を進める中で、2つの課題に直面しました。
①図形の曖昧さの問題
手書きの線画にはどうしてもわずかな誤差(ブレ)が生じます。コンピューターがこの誤差が
あるために、「この図形はあり得ない形」と処理を停止してしまう
②「だまし絵(不可能図形)」の存在
平面上に描かれた「だまし絵」のような矛盾した図形をコンピューターに処理させようとする
と、さらに計算が破綻してしまいました。
杉原教授はこの問題を解決するために、「誤差がある世界でも処理が破綻しない」頑強(ロバスト)な計算法を開発しようと考えました。
この過程で、離散数学などの手法を取り入れ、コンピューターが図形を読み解くための方程式の組み合わせ方を工夫しました。その結果、だまし絵(不可能立体)の線画すらも「立体として成り立たせる」ための理論的な道筋がひらけたのです。
つまり、「コンピューターに正確に立体を理解させる」という目的のために、「人間がだまされる立体(立体錯視)」を数学的に作り出す研究へと発展していったのが、杉原教授が立体錯視にハマった大きなきっかけと言えます。
杉原教授の作品はどこで見れるの?
杉原教授の立体錯視作品を常設で見ることができる場所として、最も注目すべきなのは「鎌倉不思議立体ミュージアム」です。
⭐️鎌倉不思議立体ミュージアム
これは、杉原教授の作品のみで構成された世界初の常設ミュージアムです。
作品は、杉原教授が監修し、代表作から新作まで約50作品が常設展示されています。
多くの作品が「見る・触れる・体験できる」ようになっています。
コンテスト受賞作品も展示されており、物理法則に反しているかのように見える不思議な立体を自分の目で確かめることができます!
場所:鎌倉市小町1ー6ー15『あいざ鎌倉(i-ZA鎌倉)』3階
JR鎌倉駅 東口から徒歩1分
その他は、企画展やイベントに作品が展示されることがあるようです。
また、杉原教授が所属する明治大学や関連する学会のイベントで、作品が展示されることがあります。
最新の情報は、「鎌倉不思議立体ミュージアム」の公式サイトは明治大学や杉原厚吉教授のホームページを確認することをおすすめします。
まとめ
☝️常識が崩れる?不思議な立体錯視について解説。
☝️杉原厚吉教授は、国際的な賞を多数受賞!
☝️杉原厚吉教授が「立体錯視」にとりつかれたわけは、コンピューターに立体を読み取らせる
ため。
☝️杉原教授の作品は、鎌倉駅近くの「鎌倉不思議立体ミュージアム」で見られる!
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